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ノンアルメーカー紹介:サッポロビール株式会社

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はじめに

「ノンアルメーカー紹介」シリーズは、ノンアルドリンク市場に製品を投入するメーカー単位でクローズアップし、歴史や製品の紹介、特徴を紹介していく記事です。
続いては、サッポロビール株式会社です。

メーカーの会社概要

商号:サッポロビール株式会社(以下サッポロ)

設立:2003年7月1日

本社所在地:東京都渋谷区恵比寿四丁目20番1号 (恵比寿ガーデンプレイス内)

資本金:100億円

従業員数:2,162名(2021年12月時点)

ノンアル市場においての歴史

歴史の始まり

サッポロがノンアルというテーマで初めて新聞紙面に出たのは、2002年12月4日に発売された、「スーパークリア」発売時です(「日本産業新聞」2002.10.22)。約0.5%のアルコール分を含む酒税法の定義上ノンアルコールビールとなる製品で、軽い口当たりだが、原料は麦芽、ホップ、水あめ等を使いビールの味わいをしっかりと出したのが特徴だったそうです。他社が同様の製品を「ノンアルコールビール」と称して販売していたのに対し、サッポロではそうは言わず、ビール風の味がする意の「ビアテイストの炭酸飲料」と強調していたようです。理由について同社では「アルコール度数はゼロではなく、消費者に誤解を与えないため」と説明していました(「日経プラスワン」2002.12.14)。すでに一部の飲食店でテスト販売を実施してからの一般販売ということと、他のビールメーカー大手3社(「キリンビール」「アサヒビール」「サントリービール」)と比較して関連した新聞記事が2002年となってやっと登場したことから、サッポロはノンアルの市場への参入に対して非常に慎重だったことが伺えます。

なお、当初は瓶のみで発売していましたが、2003年4月28日には350ml缶で発売しています。

【参考】スーパークリア

なぜ市場への参入が遅かったのかの一考察

アサヒの回でも述べましたが、アサヒは他社の製品の後に同質化した製品を発売し、シェアを奪っていくというやり方が非常に上手いです。このやり方は製品開発に多大な投資が必要となるため、経営体力のあるアサヒだからきることでもあります。一方でサッポロは他の大手3社と比較し規模が小さく、経営体力が無いため投入資源に限りがあり、ノンアル市場への参入が遅れた可能性があります。それほどまでに、ノンアルは実験的な市場であったということが伺えます。

【参考】ノンアルメーカー紹介:アサヒビール株式会社

フリーの発売へ対抗

道路交通法改正から飲酒運転や酒気帯び運転が厳罰化されたため、2009年4月にキリンから発売されたのが、「フリー」です。このフリーは大ヒット製品となり、それを見たビールメーカー大手も自社製品の新規発売等での対抗を与儀なくされました。サッポロもアルコール分を含まないビール風味飲料「スーパークリア」を2009年9月30日に発売しております(「日本経済新聞朝刊」2009.8.28)。キリンが他社を出し抜けた理由は様々な理由が考えられますが、麦や麦芽を使っていないため酒税法上は雑酒に分類され、酒税が安い第三のビールに他社は注力していたという背景も影響していそうです。

【参考】スーパークリア

健康志向への対抗

ただ、「スーパークリア」の出荷は2011年3月で終了しており、代わりに現在でも販売されている「プレミアムアルコールフリー」を2011年3月16日に発売しています。この商品は麦芽100%の麦汁と、ホップには同社の高級ビール「エビスビール」で主に使っているドイツ・バイエルン地方産のアロマホップを75%以上使う等でビールの風味に近づけた商品であります。他社がカロリーや糖質を抑えるなど健康訴求型の商品が多いビール風味飲料にあって、最後発での参入となるため、ビールらしさを強調したようです(「日本経済新聞朝刊」2011.2.3)。当時の社長である寺坂史明氏によると、「会社を変える商品。将来的には国内の市場占有率1位を狙う」と期待をかけた商品であったようです(「読売新聞」2011.6.9)。

【参考】プレミアムアルコールフリー

迷走

「プレミアムアルコールフリー」は当初販売が好調のようでしたが、他社商品の牙城を崩すまでにはいたらず、サッポロは様々なタイプの製品を投入します。2012年3月には黒ビール風味のノンアルコール飲料である「プレミアムアルコールフリー ブラック」を販売し(「日本産業新聞」2012.3.16)、2015年5月には食物繊維を含み、「糖の吸収を穏やかにする」特定保健用食品である「サッポロプラス」を販売しているが(「読売新聞」2015.2.19)、他社と比較して販売は伸びず、シェア万年4位に甘んじているようです。

【参考】プレミアムアルコールフリー ブラック

【参考】サッポロプラス

直近の動き

直近のノンアルドリンクの柱は2011年3月から販売されている「プレミアムアルコールフリー」や微アルコールとしてアサヒに追随している「ザ・ドラフティ」、昨今のクラフトビールブームという時流に同調した「酔わないCRAFT」です。微アルコール飲料とは、アルコールが完全にゼロなのではなく、0.7%と微量に含まれている製品です。

主要製品の紹介

プレミアムアルコールフリー

商品説明
内容量 334ml(瓶)、350ml・500ml
原材料名 麦芽(外国製造又は国内製造)、ホップ、酵母、炭酸、酸味料、香料
エネルギー(100ml) 12kcal
たんぱく質(100ml) 0.1g
脂質(100ml) 0g
炭水化物(100ml) 3.0g
食塩相当量(100ml) 0g
  • 麦汁を造る工程では、 ビールと同じ仕込製法であるデコクション法を採用 しています。これは、仕込時に煮沸する方法で、麦芽のおいしさを活かした飲みごたえとコクのある味わいを造ります。
  •  ザーツ産ファインアロマホップを一部使用 するなど、適宜原料の見直しを行い、配合の最適化を図ることで、しっかりとした飲みごたえはそのままに、後味の酸味と雑味を改善しています。
  • 生産者と協力し高品質の原料を作り上げる 「協働契約栽培」 を採用しています。
  • 米やコーンスターチ等の副原料を使わず、 麦芽100%の麦汁を使用 しています。
  • サッポロビール株式会社が製造しております。
  • 数量限定で 150ml増量缶 が発売されています。
苦み ★★★
甘み
再現度 ★★★
コスパ ★★★★★

飲んだ感想としては、 ビールには程遠い味 であると言えます。 酸味が強い割にはコクがなく、味という点では個人的にはおススメしません。 後味はすっきりしています。 おススメしたい点は、 非常に安く買える可能性がある という点です。増量缶の存在もポイントです

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ザ・ドラフティ

商品説明
内容量 350ml
原材料名 ビール(国内製造・麦芽、ホップ)、水溶性食物繊維、果糖ぶどう糖液糖/炭酸、酸味料
エネルギー(350ml) 12kcal
たんぱく質(350ml) 0.1g
脂質(350ml) 0g
炭水化物(350ml) 1.6~3.6g
食塩相当量(350ml) 0g
  • 専用の「麦芽100%生ビール」はオールインフュージョン法で素材本来のうまみを引き出し、非熱処理で余計な熱を掛けずろ過することで、自然な香り・麦の旨みを感じるスムースな味わいを実現致したアルコール度数0.7%の微アルコールビールテイスト飲料です。
  • ビール好きが納得のうまさを実現しています。
  • アルコール0.7%のなので、ココロもカラダにも気兼ねすることなく自分時間をより自由により楽しく過ごすことができます。
  • サッポロビール株式会社が製造しております。
苦み ★★★★★
甘み ★★★
再現度 ★★★★
コスパ ★★

泡の立ちや色は正にビールそのものです。 アルコールが微量含まれていることもあり、純粋にビールとして美味しいです。 後味の麦の臭みもないですが、若干酸味を感じます。 一口目から強い苦みを感じます。 ただ、最後の方は少し酔いを感じるため、ドライバーの方は絶対に飲まない方が良さそうです。 コスパが若干悪いのが気になります。

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【参考】ザ・ドラフティ

酔わないCRAFT

商品説明
内容量 350ml
原材料名 麦芽(外国製造又は国内製造(5%未満))、ホップ、酵母/炭酸、酸味料、香料
エネルギー(350ml) 12kcal
たんぱく質(350ml) 0.1g
脂質(350ml) 0g
炭水化物(350ml) 2.9g
食塩相当量(350ml) 0g
  • しっかり味がある、アルコール0.00%の酔わないIPAクラフトスタイルのノンアルビールです。
  • クラフトビールで人気のIPAを参考に、100年以上におよぶホップ研究とビールづくりの経験から選び抜いたIPAフレーバーをブレンドしています。
  • IPAらしい爽やかな香りとしっかりとした苦味をお楽しみください。
  • サッポロビール株式会社が製造しております。
苦み ★★★★
甘み ★★
再現度 ★★★
コスパ ★★★★

泡の立ちや色はビールに近いです。 香りは微かなに麦を感じます。 一口目からホップの強い苦みを感じます。 後味は少し残念で、香料の味が強く残りまとわりつきます。 全体的にすっきりした味で、ごくごく飲めます。 色や泡といった見た目、一口目までは凄く再現性が高く良かったのですが、とにかく後味が残念でなりません。

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【参考】酔わないCRAFT

製品の特徴

正直申しますと、味は他社と比較して完全に劣っていると個人的に思っています。そのため、価格を安く設定することで差別化することが一般的となっており、スーパーとかでも「プレミアムアルコールフリー」がかなり安く売られている場面をよく見ます。その点、全体的にコスパは良いのかもしれません。
また、キリンと同様にサワー風味やカクテル風味の製品にはあまり力を入れていない印象です。

まとめ

今後の展開としては、アサヒが打ち出している微アルコール飲料と同調しつつも、引き続き「プレミアムアルコールフリー」の味の改良や販売を行い、ノンアル需要を享受していくと考えられます。どちらにしろ他社と比較して市場への資源投入は積極的ではないため、積極的な新製品展開はそこまで多くないと考えられます。

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