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宝酒造が「バービカン」の輸入販売を始める

1986年には三菱商事が総代理店となり、宝酒造が英国バス・ブリュワリー社の「バービカン」の輸入販売を2月から始めた。この「バービカン」は、バス・ブリュワリー社から原液を輸入し、千葉県松戸市の工場でボトリングしているもので、アルコール分は0.02%である。焼酎ブームが陰りを見せている時期であったため、宝酒造は本事業を「焼酎、清酒、みりんなど酒部門に次ぐ柱にしていく」方針であった(「日経産業新聞」1986.2.7)。

本事業は、宝酒造が1986年の「バービカン」の販売計画を当初見込みから上方修正した結果を見ると、ある程度の成功を収めたと見られる。しかし、宝酒造の専務は「バービカン」をビールの飲めない場面で仕方なしに飲む代替品と考えておらず、「ノンアルコールビール」という言葉を使わない方針(「日経ビジネス」1986.3.31号39頁)であった。このことから、「バービカン」が発売された当時は「ノンアルコールビール」という言葉は一般的に認知されていなかったと見られる。

その後、ノンアルコールビールは日本において徐々に浸透していき、1988年時点において日本での国産、輸入物合わせ製品が30銘柄にも達した(「日本経済新聞夕刊」1988.9.30)。 しかし、これらの製品の元になる原液は全て輸入に頼っていた(「日本経済新聞夕刊」1988.10.1)。
また、1999年5月には大手ビール製造業者では初めて、キリンビールが提携関係にあるハイネケン社のノンアルコールビールである「バクラー」を東京と千葉、神奈川、埼玉で発売したが、大きな売上に繋がらなかったと見られる(「日経産業新聞」1999.4.28)。

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