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ノンアル・低アル・微アルという言葉の比較

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

昨今の日本において、ノンアルコールドリンクはスーパーやコンビニで売られる等、一般化してきました。味という面ではまだまだアルコールが入ったドリンクに及ばないものの、ビールを中心にかなり美味しくなったようにも思えます。

ビールがどうしても飲みたい方で、運転せざるを得ない方や次の日大事な仕事を控えている方によく飲まれている印象です。

ただ、最近は「微アル」という言葉がでできたり、海外では「low-alcohol(低アル)」という言葉があったりと、定義が乱立しており一人歩きしているような印象を受けます。そのため、本記事では「ノンアル」「低アル」「微アル」という言葉の定義を整理し、わかりやすく読者に伝えることを目的としております。

ノンアルの定義は?

【参考】ノンアルコールドリンクの定義

本サイトは、ノンアルコールドリンクの情報を主に取り扱っているサイトです。そのため、取り扱う際の「ノンアル」の定義を明確に定めています。本サイトのノンアルコール「ドリンク」の定義は、アルコール度数1%未満かつお酒風味(もしくはお酒を模した)という二つの条件を満たした飲料とします。

これは、シンクタンクの富士経済が発売している「2021年 食品マーケティング便覧 No.2」で使用されている定義である、「日本の酒税法で酒として扱われない、アルコール度数1%未満のビール風味の発泡飲料」を参考としています。

また、お酒風味(もしくはお酒を模した)という条件に関しては、ソフトドリンクや清涼飲料水等で呼ばれているコーラやオレンジジュース、またはお茶をわざわざノンアルコールドリンクとするのは違和感があるからです。

アルコール度数1%未満かつビール風味という二つの条件を満たした飲料がノンアルコール「ビール」となるのですね。ただ、ノンアルコールドリンクの定義は各文献や税法により異なるため、注意して下さい。

低アルの定義は?

日本で言うノンアルドリンクは、海外において「low-alcohol(低アル)」という言葉で呼ばれていることが多いです。アルクの英辞郎 on the WEBによると、low-alcoholはアメリカでは通常アルコール度が0.5%以下のもの、イギリスでは1.2%以下のものを指すようです。しかし、アメリカの州によっては3.2%以下のビールをこう呼ぶことがあるようで、定義がバラバラのようです。アルコール度が3.2%以下となると、日本では「ほろ酔い」なんかが当たりそうですね。これよりアメリカの州の定義まで鑑みると、低アルのアルコール度数上限は3.2%となりそうです。

続いて、下限はどうなるのでしょうか。これは飲酒に関する連絡協議会という団体が制定した「酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準」を参考にしてみようと思います。この協議会は酒類業中央団体連絡協議会の9団体で構成されているようで、アサヒやキリン、サッポロ、サントリー、オリオンが加盟しているビール酒造組合と全国地ビール醸造者協議会がそれに含まれます。そこに記載されているノンアルコール飲料の定義によると、「ノンアルコール飲料とは、アルコール度数0.00%で、味わいが酒類に類似しており、20歳以上の者の飲用を想定・推奨しているものとする。」としています。これより、低アルのアルコール度数下限は0.01%以上となりそうです。

【参考】酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準

以上より、低アルという言葉はしっかりとした定義付けが行われていないものの、アルコール度数の下限が0.01%で、上限が3.2%という条件を満たした飲料とします。

アルコール度数の範囲が結構広いため、本サイトでは低アルという言葉は基本的に使用しません。

微アルの定義は?

【参考】ソバキュリ!が選ぶ本当に美味しい微アルコールビールランキング

最後に「微アル」の定義について整理していきましょう。微アルを最初に提唱したのはアサヒですので、その商品である「ビアリー」の紹介ページを確認します。そこでは、「アルコールが微かに含まれているカテゴリーを表しています」と書かれており、微アルの定義は非常に曖昧(もしくは決めていない)ことがよくわかります。

そのため、発売されている商品から定義付けを行うこととします。現在ビアリーのラインナップは「ビアリー」「ビアリー香るクラフト」「ビアリーAMBER ALE STYLE」「ビアリーIPA STYLE」がありますが、すべてアルコール度数は0.5%です。また、商品のパッケージに「微アルコール」という表記がされているサッポロの「The DRAFTY」は、アルコール度数が0.7%です。これより、低アルのアルコール度数上限は0.7%となりそうです。

アルコール度数の下限はアサヒの「アルコールが微かに含まれているカテゴリー」という言葉から、低アルと同様に0.01%以上をそのまま採用します。よって、アルコール度数の下限が0.01%で、上限が0.7%という条件を満たした飲料とします。

アルコールが微かに含まれている、という言葉が大変難しいので、もしかしたらアルコール度数が0.9%の商品もそのうち出てくるかもしれません。

まとめ

以上の調査・整理により、「ノンアル」「低アル」「微アル」という言葉の定義はそれぞれ以下の通りとします。

ノンアル:アルコール度数1%未満かつお酒風味(もしくはお酒を模した)

低アル:アルコール度数の下限が0.01%で、上限が3.2%

微アル:アルコール度数の下限が0.01%で、上限が0.7%

これらのような新しい市場やカテゴリーがさらに普及するには、消費者に誤解を与えないように言葉の定義付けをしっかりと行うことが必要となります。各メーカーごとに協調し言葉の定義付けを整理し、新商品に表示させることが、各市場やカテゴリーにとって非常に重要であると考えます。

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