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ノンアルメーカー紹介:サントリー酒類株式会社

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はじめに

「ノンアルメーカー紹介」シリーズは、ノンアルドリンク市場に製品を投入するメーカー単位でクローズアップし、歴史や製品の紹介、特徴を紹介していく記事です。
今回は、サントリー酒類株式会社です。ビール市場でのプレミアムモルツでもそうですが、サントリーは製品投入の際に後発組になることが多いです。ただ、オールフリーやのんある晩酌といったアルコール飲料の再現性の高さにより、他社のシェアを切り崩していきます。今後も日本におけるノンアル市場の主役であり続ける企業であると思われます。

メーカーの会社概要

商号:サントリー酒類株式会社(以下サントリー酒類)

設立:2015年1月1日

本社所在地:東京都港区台場2-3-3

資本金:10億円

従業員数:40,275名(2021年12月時点・サントリーグループ全体)

ノンアル市場においての歴史

歴史の始まり

サントリーがノンアルに関係したテーマで初めて新聞紙面の記事に出たのは、アサヒと同様でアルコール度数が二%前後の「超低アルコール」のビールや酒の発売が相次いでいた時です(「朝日新聞」1997.6.15)。その際はアサヒと共に自社製品の投入に対しては静観の構えでした。

自社製品の発売

サントリーの自社製品は2002年の11月に発売したビノンアルコールビール「ファインブリュー」です。当時はアサヒのレーベンブロイのようにノンアルコールビールは海外ブランドが主流でしたが、サッポロと共に自社の醸造技術を生かした国産品で特徴を出していました。アルコール度数は0.5%未満で、当時の事業本部ビール事業部和田龍夫課長の話では、「ビール、発泡酒に続く第3の商品がノンアルコールビールと見て開発に踏み切った。アルコール分が極めて少ないのはもちろん、カロリーもビールの半分以下と少ないことが消費者の健康志向に合致しており、今後の成長商品になる可能性が十分ある。」と、消費者の健康志向を狙っていたことが窺えます。

【参考】ファインブリュー

発売当時のノンアル製品の販売数はドウシシャの「ブローリープレミアムラガー」や宝酒造の「バービカン」が上位を占めていたようです(「日本産業新聞」2002.10.22)。しかし、その後の日経POSデータの調査では、初登場以来7週連続で首位を確保し、ある週での売上シェアは41.7%と、消費者からは圧倒的な支持を得ていたようです(「日本流通新聞」2003.01.18)。

【参考】ブローリープレミアムラガー

アルコール0.00%製品の発売

アルコール0.00%であるキリンの革命的な製品「フリー」の2009年4月発売に合わせ、サントリーは2009年9月に「ファインゼロ」を発売しました。ビールや発泡酒のように発酵させないのが特徴で、麦とホップを煮て作った麦汁に炭酸を加えて製造しています。ただ、麦芽を多く使用しているため、しっかりした飲みごたえを実現したことや、ホップを投入するタイミングをやや遅らせることで香りを引き立てる工夫も凝らしたように、サントリーの味に対するこだわりがよく分かります。(「日本経済新聞」2009.08.19)

【参考】ファインゼロ

オールフリーの発売

ファインゼロではキリンのフリーの牙城を崩せなかったようで、その後にサントリーから満を持して2010年8月から発売されたのが、「オールフリー」です。アルコール度数と糖質、カロリーの三つがゼロであり、予想を大幅に上回る注文により一週間で生産が追いつかなくなった程大ヒットになったようです(「日本経済新聞朝刊」2010.8.11)。日経テレコンのPOSランキングよりソバキュリ!が試算したデータによると、このオールフリーのお陰で2011年から2016年に至るまでサントリーがノンアル製品のシェアトップを誇っていたようです。

【参考】オールフリー

機能性表示食品への注力

サントリーはk機能性表示食品にも一部注力しておりました。例えば2015年に発売した「オールフリーコラーゲン」は、文字通りコラーゲン入りの商品であります。本商品を開発したのは、ノンアルコールビールの消費者に占める女性の割合が52%と男性を上回ったことがきっかけでした(「日本産業新聞」2015.5.28)。

若干の迷走期

2018年5月には色を透明にし、ペットボトルに入れたノンアルコールビール飲料である「オールフリーオールタイム」を発売しました。一般的な清涼飲料のような見た目にすることで、職場でも抵抗感なく飲めるようにし、若い会社員のニーズの開拓を目指したそうです(「日本経済新聞朝刊」2018.5.9)。アサヒビールもペットボトル入りのノンアルコールビールである「ドライゼロスパーク」を2018年7月から期間限定で売り出したそうですが、消費者からの反響は良くなかったようでし(「日本流通新聞」2018.8.29)。
結果として、サントリービールは「オールフリーオールタイム」を発売から間もない2019年3月に休止
しました。この商品は、順調にノンアル市場を開拓してきたサントリーの若干の迷走期と言えそうです。

直近の動き

直近のサントリーのノンアルドリンクの柱は「ビール以外のサワーやワイン」です。ノンアルビールであるオールフリーは非常に味や価格のバランスが良いため新たな商品を発売しないという、他のメーカーとは一線を画した戦略を取っています。ワイン風味のノンアルである「ノンアルでワインの休日<赤><白>」も十分におススメできる品質を誇っていますが、特におススメしたいのが「のんある晩酌レモンサワー」です。レモンの香気成分をノンアルコール飲料に封じ込め、焼酎由来の旨味をノンアルコールのエキスとして凝縮させる「レモンサワーありのまま製法」を当社商品で初めて採用しています。個人的には、レモンサワー系のノンアルコールドリンクで、味として一つの答えが出たと思えるような商品です。

主要製品の紹介

オールフリー

商品説明
内容量 250ml・334ml(瓶)・350ml・500ml
原材料名 麦芽(外国製造)、ホップ/炭酸、香料、酸味料、カラメル色素、ビタミンC、苦味料、甘味料(アセスルファムK)
エネルギー(100ml) 0kcal
たんぱく質(100ml) 0g
脂質(100ml) 0g
炭水化物(100ml) 0g
食塩相当量(100ml) 0g~0.02g
  •  「麦の旨み」  「すっきりとした後味」 そして 「軽快なのどごし」 が特長のノンアルコールビールテイスト飲料です。
  • 加えて機能面では、 「アルコール度数0.00%」  「カロリーゼロ」  「糖質ゼロ」  「プリン体ゼロ」 の四つのゼロを実現している。
  • また、飲んでから鼻に抜ける香りを表す 戻り香 に着目して、よりのどごしの良さにつながる香りを新たに採用し、ベースとなる麦汁を見直すことで、のどごしスッキリな味わいに仕上ております。
  • サントリービール株式会社が製造しています。
苦み ★★★★
甘み ★★★
再現度 ★★★★
コスパ ★★★★★

色は黄金色で、ビールに近いです。

 香りは華やかで、ホップがかなり効いています。   甘味は弱く、苦みも程よい です。 さすがにサントリーのベストセラーといったところです。 価格も手ごろで、味とのバランスも良いため、 非常におススメの商品 です。

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【参考】オールフリー

オールフリーライムショット

商品説明
内容量 350ml・500ml
原材料名 麦芽(外国製造)、ホップ、炭酸、香料、酸味料、カラメル色素、ビタミンC、苦味料、甘味料(アセスルファムK)
エネルギー(100ml) 0kcal
たんぱく質(100ml) 0g
脂質(100ml) 0g
炭水化物(100ml) 0g
食塩相当量(100ml) 0g~0.02g
  •  ライムをひと搾りしたような 爽快なビールの味わいが楽しめるノンアルコールビールテイスト飲料です。
  • 機能面では、他のオールフリーと同じくアルコールゼロに加えて、 「カロリーゼロ」  「糖質ゼロ」  「プリン体ゼロ」 の四つのゼロを実現しています。
  • また、 「粒選り麦芽100%一番麦汁使用」  「アロマホップ100%使用」  「天然水仕込」 を採用しています。
  • サントリービール株式会社が製造しています。
苦み ★★★★
甘み
再現度 ★★★★★
コスパ ★★★★

見た目はコロナビールみたいに薄目の色です。 泡立ちはそこそこ良いです。 香りはライムの爽やかな風味を感じます。 一口目からライムの味を強く感じ、次いで麦味が口に広がります。 後味もライムが強めで、まるでビールにライムを一搾りしたような味です。苦みもしっかり感じます。 本当に美味しく、ライムを絞ったビールとしての再現性は高いため非常におススメです。

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【参考】オールフリーライムショット

のんある晩酌レモンサワー

商品説明
内容量 350ml
原材料名 レモン果汁(イスラエル製造)、焼酎エキス(ノンアルコール)、酸味料、炭酸、香料、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)
エネルギー(100ml) 0kcal
たんぱく質(100ml) 0g
脂質(100ml) 0g
炭水化物(100ml) 0.4g~0.9g
食塩相当量(100ml) 0.07g~0.14
  •  レモンサワーのような爽やかな飲みごたえ、飲み終わりまで広がるレモンの味わい が特長のノンアルコールテイストサワー飲料です。
  • レモンの香気成分をノンアルコール飲料に封じ込め、焼酎由来の旨味をノンアルコールのエキスとして凝縮させる 「レモンサワーありのまま製法」 を当社商品で初めて採用しました。
  • サントリー酒類株式会社が製造しております。
酸味 ★★★★★
甘み ★★★★
再現度 ★★★★★
コスパ ★★★

レモンサワー系のノンアルコールドリンクで、 味として一つの答えが出た ような商品です。  炭酸は結構強め で、色は透明です。 香りはまさに レモンサワーそのもの です。 特徴的なのはレモンの果汁風味で、 飲んだ瞬間にレモンの酸味が口一杯に広がります。 甘味はほぼなく、 すっきりした味 です。 さすがに後味が多少異なりますが、サントリーのアルコールの商品である 「こだわり酒場のレモンサワー」に味が酷似 しています。 単純に飲み物として美味しくいただける一品です。

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【参考】のんある晩酌レモンサワー

ノンアルでワインの休日<赤>

商品説明
内容量 350ml
原材料名 果実(ぶどう)、糖類(砂糖、水あめ)、ワインエキス(ノンアルコール)、酸味料、炭酸、香料、乳酸Ca、酸化防止剤(ビタミンC)、カラメル色素、増粘剤(キサンタン)/原料原産地名 チリ製造(ぶどう果汁)
エネルギー(100ml) 18kcal
たんぱく質(100ml) 0g
脂質(100ml) 0g
炭水化物(100ml) 4.6g
食塩相当量(100ml) 0.06g
  • ワインエキスを使用し、中味の「本格感」にこだわった缶のスパークリングワインテイスト飲料です。
  • 「酸化防止剤無添加ワイン」の原酒を蒸留し脱アルコールした原料を使用しており、ワインらしい味わいと香りを実現しました。
  • トップに赤ワインらしい赤い果実の香りで、中盤にかけて赤ワインらしいコクのある味わいとなっています。
  • サントリー酒類株式会社が製造しております。
酸味 ★★★★★
甘み ★★
再現度 ★★★★★
コスパ ★★★★★

泡がきめ細かいですが、見た目は若干ファンタグレープに似ています。 ワインエキスを使用しているためか、香りは完全に赤ワインそのものです。 一口目から強いブドウの酸味を感じます。甘味は少なく非常にスッキリしています。 後味もアルコールの風味が残り、酸味がしっかり感じられるため、本格派のノンアルワインと言えます。 ノンアルワインの割りには価格が良心的で、気軽にコンビニで購入できるため良いです。 サントリーの本気が窺える一品です。是非ご賞味あれ。

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【参考】ノンアルでワインの休日<赤>

製品の特徴

先述しましたが、サントリーはビールだけでなく、サワーやワイン等多彩なノンアルの商品を発売し続けています。また、女性層も取り込める汎用性の高い「味」の再現に徹底的にこだわることで、商品の発売が他社の後発となることが多いにも関わらず短期間でシェアを奪還することができました。オールフリーの大躍進は、後発にも関わらず他社のシェアを奪い取ったビールの「モルツ」や「プレミアムモルツ」時と似ていると感じた人は自分だけではないはずです。

また、定期的にビアガーデンと称してオールフリーの樽詰が飲める機会を設けています。時間がある方は是非行ってみてください。

【参考】のんある探訪:サントリーのんあるビアガーデン

まとめ

オールフリーという絶対的エースを中心に、ワインやサワーといったベール以外のノンアル市場の拡大に寄与してるサントリーです。味に対するこだわりは、一ノンアルファンとして頭が上がりません。
今後の展開としては、ワインやサワーといった女性にも人気のあるカテゴリに主軸を置きつつ、オールフリーの味をさらにビールへ近づける、そんな戦い方をするのではないかと思われます。

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