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ノンアルコールビールのリラックス効果について

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ノンアルコールドリンクのメリット

ノンアルコールドリンクには、いくつかの良い点があると考えられています。まず一つ目は、毒にも薬にもなるアルコールが全く含まれていない、もしくは微量しか含まれていないという点です。特に日常的に飲酒の習慣のある人の休肝日には大きな威力を発揮します。筋トレをしている方にも、アルコールによる筋肉分解が行われないという点で、非常にメリットがあります。

二つ目は、特にノンアルコールサワーで特定保健用食品や機能性表示食品といった健康に関する栄養素が含まれているということです。お腹の調子を整える機能や脂肪や糖質の吸収を抑える機能といった多様な栄養素が多くの製品に含まれています。

また、三つ目の良い点として、ノンアルコールドリンクの中でもビールにはリラックス効果があるとされています。そのため本記事では、「嗜好品(ノンアルコールビール)のリラックス効果」という論文を参考に、ノンアルコールビールのリラックス効果をまとめました。

キリン「フリー」とアサヒ「ドライゼロ」を利用した実験

「RussellとLaniusの気分特性モデル」

「嗜好品(ノンアルコールビール)のリラックス効果」という論文での説明によると、今回の実験では「RussellとLaniusの気分特性モデル」を利用したようです。

RussellとLaniusの気分特性モデルの概念図(著者作成)

「RussellとLaniusの気分特性モデル」とは、X軸(横の軸)に快と不快を、Y軸(縦の軸)に覚醒と非覚醒を位置づけた二次元空間を元に、被験者の状態を判断するために使われるものです。この図の中だと、左下の「Relaxing」の状態が被験者にリラックス効果があると判断される部分です。

要するに、ノンアルコールビールを飲んだ被験者が左下の状態にあるとリラックスしているということなんですね。

実験で使用された製品

また、本実験は市販されているのキリンビールの「フリー」とアサヒビールの「ドライゼロ」が使用されました。

キリンビールが発売した「フリー」は、業界初の完全ノンアルコールビールながら本物のビールに近い味わいが話題となりました。

対してアサヒビールの「ドライゼロ」は、2012年2月と競合からやや遅れて発売されたものの、常にサントリーの「オールフリー」と販売シェアで長らくトップ争いを繰り広げるほど大ヒットした製品です。

以上の二製品に加え、実験の差を見るために「水」が使用されました。

キリン「フリー」とアサヒ「ドライゼロ」を利用した実験の結果

「嗜好品(ノンアルコールビール)のリラックス効果」くより著者作成

実験の結果、水にはリラックス効果が見られず退屈を示す「Boring」をもたらしたが、キリンビールの「フリー」とアサヒビールの「ドライゼロ」では強いストレス改善効果を表す「Relaxing」の状態にあると認められました。これにより、ノンアルコールビールにはリラックス効果があると言えます。

また、事前の被験者への嗜好調査の結果、全被験者がビール好きである一方、ノンアルコールビールは好きではない、ということでありました。

ビールの味の好き嫌いとリラックス効果は関係がないということだね。

また、キリンビールの「フリー」はアサヒビールの「ドライゼロ」より強いストレス改善効果を示したと論文では記載されています。その理由は分かりませんが、両製品に含まれているホップがハーブの一種でリラックス効果があり、それがストレス改善効果に働いている可能性が指摘されています。そのため、キリンビールの「フリー」はアサヒビールの「ドライゼロ」よりホップの量が多い、もしくは種類が異なることによって差が生まれたということが理由の一つとして考えられます。

まとめ

本記事では、論文での調査結果を元に、ノンアルコールビールのリラックス効果について記載しました。これからお酒を飲まないという条件でリラックスした時は、お供にノンアルコールビールも選択肢としてあると良いのかもしれません。

【参考】橋爪 秀一, 河野 貴美子, 小久保 秀之, 山本 幹男, 桂川 秀嗣, 鎌田 明彦, 渡辺 恒夫. (2015).嗜好品(ノンアルコールビール)のリラックス効果,Journal of International Society of Life Information Science,2015,Vol.33, No.1, March 2015.

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